1963年、長野県御代田町で創業した大井建設工業は、ゴルフ場の造成工事から始まり、別荘建設を経て、事業の軸足を注文住宅へシフトさせてきた。近年、北陸新幹線の佐久平駅ができたこと、そしてコロナ以降、リモートワークの普及もあって空き家をリノベーションして住みたいという声も増えてきたことから買取再販を主軸としたリノベーション事業部を立ち上げた。
その部隊のためにいわば旗艦店として建設されたのが、ショールーム兼オフィスの「RINOEL(リノエル)」だ。リノベーションを介した住宅の買取再販とそれをアピールする商業施設であるため、企画段階から同種事業に詳しいJapan. asset management株式会社とデザイン性の高い実績のあるアトリエ エツコに参画を依頼。駅に近い北側には軽井沢で人気のカフェにテナントとして入ってもらい、カフェに惹かれてきた人がショールームにも立ち寄ってもらう仕掛けとした。
ショールーム空間は、「ヴィンテージ」、「クラシック」、「ラフ」、「モダン」の4つのライフスタイルを提案でき、それらを定期的にリノベーションしていけるようなプランを採用。
平面図を見ると長方形の箱のなかに、4つのイメージを担う空間が斜めに仕切られて並んでおり、内側にいる人間は深い奥行き感と、外壁に沿ってまっすぐ歩いているのに斜めに進んでいるような不思議な連続性を感じることができる。これらの架構とおさまり、最高部の天井高が5.7mという大空間は、SE構法でこそ実現したものといっていいだろう。