SE構法で建てる資産価値のある住宅ブランドに「重量木骨の家」がある。その重量木骨の家を設計できるのは、SE構法の採用を含め、いくつかの条件をクリアした全国各地の工務店や設計事務所であり、認証を受けたビルダーは「重量木骨プレミアムパートナー(以下PP)」と呼ばれる。
新社屋を完成させたTOAHOMEは、愛媛県松山市を拠点とするPPなのだが、新社屋設計を行ったのは新潟県新潟市を拠点とするPP星野建築事務所だった。
ビルダーであるTOAHOMEがなぜ同業他社に設計を依頼したかといえば、建て替え競争に勝つ自社ブランディングのためだという。当社がある松山市は周辺に市街化調整区域が多く、新規の住宅用地の取得が難しいため、四国のなかでは地価が高い。そのような環境で、これから中心部の建て替えを請け負っていくためには、同地域のビルダーとの差別化をはかる必要があり、SE構法の耐震性や機能性に加え、デザイン性の高さが要になると考えたのだった。
建物を平面図で見ると、南側の前庭を囲むような変形L字型で、1階は接客ゾーン、2階はオフィスという構成だ。国道側は、騒音・振動を防ぐために開口部は最小限に抑えられているが、中庭側は木造SE構法が得意とするダイナミックな大開口と大空間が広がる。そこにかかる梁の意匠は、温かみをもたらすアーチ型とし、今後のTOAHOMEの顧客を意識した当社らしいデザイン空間が誕生した。