大阪・京都から電車で30分ほどの距離にある近鉄日本鉄道大和西大寺駅。その目の前に誕生した木造平屋の商業施設がCoconimo SAIDAIJIだ。大和西大寺駅は、近鉄奈良線、京都線、橿原線乗り入れる奈良県有数の交通の要で、高層集合住宅や戸建ての住宅地が広がる。南に2km行くと唐招提寺、東側には平城京旧跡が広がり、駅西側には西大寺があるという歴史的名所とも縁が深い土地だ。
その駅前に何を建てるか。区画整理の折に土地を取得した近鉄不動産株式会社が出した結論は、巨大な商業ビルではなく、むしろ巨大都市からの通勤通学の帰りにふと立ち寄りたくなる親しみやすいスポットだった。
駅を降りて自由通路の高架を歩いていくと、芝生広場とそれを囲む平屋の木造建物を望むことができる。それがCoconimo SAIDAIJIであり、当施設は1500㎡ほどの商業地域に容積率(敷地面積に対する建築物の床面積の合計)が40%しかないという贅沢な「抜け感」と「広がり」を持っている。
A・B・C・D棟と駐車場は芝生広場を中心にぐるりと並び、各棟は広場側に1.8mほどの庇を張り出させている。利用者は回廊を渡るようにテナントを回遊することができ、それぞれの棟には飲食店のほか、自社の不動産窓口や一般市民も利用できるコワーキングスペース、ドッグスパなどがある。当初の狙いどおり、近隣住民の暮らしに密着し、憩いを提供しているようだ。