神奈川県横浜市に竣工した木造2階建てのH邸。ご夫婦の家づくりはインテリアから始まった。現在はダイニングにあるベルギー製のダイニングテーブルに惹かれて購入したことを起点とし、そのテイストに合わせて他の家具をそろえ、世界観を確かにしていきながら住宅全体のイメージを膨らませていった。
ダイニングテーブルを購入したショップは、家具に合わせてシンプルなボックス型の住宅外観図を提案してくれた。それを元に、相川佐藤建築設計事務所とキリガヤが手を組む形で、大型家具をゆったりと置ける住まいを実現した。
自由度の高い大空間と安全性の両面から、構造は初期の段階でSE構法に決定。間取りを見ると、南北と東西にそれぞれ通った軸組が、キッチンとリビングの接点を中心として十字に交差するようになっており、バランス良く住宅の強度を上げていることが分かる。
玄関は北側。玄関ホールを抜けると、右手に水回り全般、左手にリビング・ダイニングと続いていく。リビングの床は20cm下げたダウンフロアで、ゆるくダイニングと区分けしつつ、天井は吹き抜けに。よって天井高は5.4mという大空間だ。
2階へはダイニングを通ってテレビ背面の階段を上がっていき、2階ホールにはお酒を楽しむミニバーを設えた。その窓からは斜面の雑木林が見える。
H邸の建築面積は8.19m×6.98mと、標準的な敷地であるものの、ゆとりある空間と自然の借景が結びつくことで奥行と広がりを感じさせる住まいとなった。