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木造建築の進化を支える金物工法とは?特徴とメリット・デメリットを解説

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木造建築の進化を支える金物工法とは?特徴とメリット・デメリットを解説のインデックス

日本の木造建築は長い歴史の中で進化を続けてきました。伝統的な「在来工法」は、柱や梁を組み合わせることで木の持つ美しさや強さを活かし、職人の技によって精巧に造られる工法として広く知られています。

しかし近年では地震への備えや施工の効率化が求められるようになり、在来工法以外の選択肢も注目されています。その中のひとつが「金物工法」です。金物工法は、木材の接合部に専用の金属部品を使用することで強度を高め、耐震性の向上や施工品質の安定化を実現します。

今回は、金物工法の特徴や在来工法との違いを比較しながら、そのメリット・デメリットについて解説します。

金物工法とは

金物工法とは、木材の接合部分に専用の金属製部品を使用して固定し、耐震性や施工精度を高める工法のことです。

工場でプレカットされた木材と専用の金属金物を使用することで、品質のばらつきを抑えながら建物の強度を確保できます。

特に地震の多い日本では、安全な住宅を建てるために金物工法が広く注目されるようになっています。

金物工法と在来工法の違い

ここでは、金物工法と在来工法の違いを解説します。

接合部の技術

木造建築において、柱や梁をどのように接合するかは建物の耐久性や耐震性能に大きく影響します。

従来の在来工法では、柱や梁の端を「ほぞ継ぎ」や「仕口」と呼ばれる伝統的な木工技術で加工し、組み合わせる方法が一般的でした。具体的には、以下のような手法があります。

 

・腰掛けあり継ぎ:梁同士をつなぐための継手。木材の一部を削り、組み合わせることで固定
・大入れ蟻継ぎ:木材が外れにくいように、蟻型(台形)に加工して噛み合わせる方法
・追掛け大栓継ぎ:長い梁をつなぐ際に、互いの木材を加工して組み合わせ、大栓(だいせん)で固定

 

このような伝統的な接合方法は、木材の特性を活かした工法であり、美しい仕上がりが特徴です。しかし、接合部の強度は木材自体の加工精度や職人の技術力に大きく依存するため、耐震性には限界があります。特に、地震や強風の際に接合部が外れるリスクがあるため、補強が必要とされるようになりました。

近年の在来工法では、従来の仕口・継手の手法に加え、金物を併用することが一般的です。また、建築基準法の改正によりホールダウン金物の使用が義務化されるなど、木造住宅の接合部に金属補強を施すことが求められています。

金物工法は、木材同士を直接組み合わせるのではなく、専用の金属部品を用いて接合部を補強する工法です。

在来工法の接合部では、木材を加工して接合していましたが、金物工法では、プレカットされた木材に専用の金属部品を取り付けることで強固な構造を実現します。

接合部の金物は、木材の引き抜きやズレを防ぎながら従来の在来工法よりも耐震性を向上させる役割を果たします。また、プレカットされた木材を用いるため施工精度が高く、現場での作業時間を短縮できるメリットもあります。

法と工期

金物工法では、工場でプレカット加工された木材を使用し、現場では木材を組み立てた後に指定された金物を取り付けるため、工期が短縮されます。特に、大規模な住宅建設や分譲住宅では、工期短縮が大きなメリットとなります。

在来工法では、木材を現場で職人が加工しながら組み立てるため、工期が長めに設定されることが一般的です。

設計の自由度

金物工法は接合部の強度を確保することで柱や壁の少ない開放的な間取りや大空間の設計が可能です。リビングを広く取りたい、吹き抜けを設けたいといったお施主様の要望に対応しやすいのが特徴です。

在来工法で大空間や自由な間取りを実現させるためには、耐震との両立を図るために柱と柱の間に筋交いを入れて補強する必要があります。在来工法ではこの筋交いを増やせば増やすほど、間取りの自由度が制限されてしまうのが難点です。

コストと品質

金物工法は専用金物のコストやプレカット加工の費用がかかるため、材料費はやや高めです。ただし施工の精度が高く、後々のメンテナンスコストを抑えられるメリットがあります。また、品質のばらつきが少なく安定した住宅が実現できます。

在来工法は材料費は比較的安めですが、職人の技術費や施工時間によって人件費に影響が出たり、施工精度のばらつきがメンテナンスや修繕費用の発生につながったりする可能性があります。

金物工法のメリット・デメリット

金物工法のメリットと、知っておきたいデメリットについて解説します。

メリット

メリットとしてまず挙げられるのが、耐震性の向上です。

金物工法では、柱や梁、筋交いの接合部に専用の金属部品を使用するため、地震時の揺れに対して強い耐性を持ちます。金物工法に使う部品によって接合部のズレや柱の引き抜きを防ぐことができるのです。その結果建物全体の一体性が向上し、大きな地震にも耐えられる構造が実現します。

次のメリットは工期の短縮が叶うことです。
金物工法では、工場で正確に加工された部材を現場で組み立てる工程のため、在来工法と比較して施工のスピードが向上します。

現場での作業時間が減ることで、天候による影響も少なくなり安定したスケジュールで工事を進めることが可能です。

金物工法は、一定の品質を保ちながら施工できる点がメリットです。在来工法では、職人の技術によって施工の品質にばらつきが生じることがありますが、金物工法では部材の加工をすべて工場で行うため、寸法の誤差が少なく施工の精度が高くなります。

また、金属部品は接合部の強度を均一化して、建物全体の品質を一定に保つことができます。

施工現場でのミスを減らし、長期間にわたって安定した構造を維持できる点も、金物工法の強みです。

また、金物工法は、接合部の強度が高いため、在来工法では実現しにくかった大空間や開放的なデザインの家づくりが可能です。

例えば、壁や柱の少ない広々としたリビングや、大きな窓を配置した開放的な空間なども、金物工法なら安全性を確保しながら実現できます。これにより、吹き抜けや勾配天井など、デザイン性の高い住宅も建てられます。

開放的な空間を求める方にとって金物工法の設計自由度の高さは魅力でしょう。

デメリット

金物工法のデメリットは2つあります。まずはコストについて見ていきましょう。

前述しているように、金物工法では耐震性を確保するために専用の金属部品を使用しますが、これらの金物は在来工法に比べてコストが高くなる傾向があります。

また、プレカット加工を行うための設備や技術も必要となるため、材料費や加工費が増加する可能性も。ただし、長期的なメンテナンス費用や耐震補強の必要性を考えると、初期コストの高さは将来的なコスト削減につながるとも考えられます。

次のデメリットは、金物工法の施工業者についてです。金物工法を採用する場合、金物の取り付けに関する正しい知識と経験を持つ施工業者を選ぶ必要があります。その理由は、金物工法は、使用する金物の種類や配置が構造の強度に影響するため、施工に精通していない業者によって行われると耐震性が低下するリスクがあるからです。

金物工法に精通した工務店や施工業者を選定することが大切です。

金物工法の耐震性能について

金物工法では接合部の強度と木材のプレカット加工が耐震性の高さにつながります。それぞれ詳しく解説します。

接合部の強度が向上する

金物工法では、木材同士の接合に専用の金属部品を使用するため地震時の揺れに対する耐久性が向上します。いくつかある部品の中でも、ホールダウン金物は柱と基礎を強く固定し、地震の揺れによる引き抜きを防ぎます。

また、梁と柱の接合部にも専用の金物を使用することで、建物全体が一体となって揺れに対抗する構造を実現できます。これにより、地震発生時にも建物の損傷を最小限に抑えることが可能です。

プレカットによる精密加工で品質が安定する

工場で木材をプレカット加工することで、木材の寸法が正確に揃えられます。これにより、施工現場での微調整が減少し建物全体の品質が安定し耐震性も向上します。プレカット技術は、人の手による加工のばらつきを防ぎ、一貫した品質管理が可能になる点も大きなメリットです。

接合部を剛接合し高い耐震性を実現するSE構法

SE構法は、柱と梁を剛接合し、壁に筋交いを入れなくても強い構造躯体を作れる木造住宅の建て方です。ここからは、SE構法が高い耐震性を実現できる理由を解説します。

独自のSE金物を使用

SE構法では、通常の金物工法とは異なり、緻密な構造計算を行い独自に開発した「SE金物」を使用します。SE金物は接合部の断面欠損を少なくすることで強度を向上させ、地震に強い構造を実現できます。SE金物は、従来の金物工法よりも耐力が高く、より大きな地震にも耐えられる仕様です。

さらに、SE構法で建てる家には全棟にSボルトを採用。表面に凹凸加工がされた独自のSボルトを木材にねじ込むことで、経年変化や引き抜きに耐えられる効果を発揮します。SE金物とSボルトを組み合わせることによって、従来の金物工法よりもさらに堅牢な構造を作り上げます。

ラーメン構造によって建物全体を強固な構造に

SE構法では、柱と梁を「剛接合」するラーメン構造を採用しており、建物全体が一体となって揺れに強い構造を作り出します。従来の木造建築では柱と梁の接合部が回転する「ピン接合」が一般的ですが、SE構法では剛接合により接合部の動きを制限し、建物全体の強度を向上させます。これにより、大地震が発生した際も建物が倒壊しにくい構造となります。

緻密な構造計算で建物の強さを数値で示す

SE構法では、すべての建物に対して精密な構造計算が行われます。在来工法では構造計算が義務付けられていない場合もありますが、SE構法では構造の強さを数値で証明できるため、安心して住むことができます。耐震性能を数値で保証できるため、将来的なリスクを減らすことができる点も、SE構法の大きな強みです。

耐震シミュレーションによる安心感

SE構法には、家を建てる前に「耐震シミュレーション」を行い、大きな地震が来ても建物が耐えられるかどうかを確かめるサービスがあります。

耐震シミュレーションでは、建物の構造計算を行った段階で、過去に起きた実際の大地震の地震波を構造躯体のモデルにインプットし、揺れ具合や損傷を立体解析でシミュレーションします。X方向の横揺れ・Y方向の横揺れ・上下縦方向の揺れの3種類が同時に発生したときに建物がどのような動きをするのかを、3Dグラフィックで分かりやすく検証できるため、家を建てる際の安心感につながります。

 

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金物工法は地震対策や設計の自由度を求める方へ選択肢のひとつ

金物工法は、耐震性の向上、施工精度の安定、工期の短縮といった多くのメリットを持つ工法です。一方で、初期コストの高さや施工業者の選定には注意が必要です。

地震対策や設計の自由度を重視する方にとって、金物工法は有力な選択肢となるでしょう。ただし家づくりの際には、メリット・デメリットを理解したうえで、ご自身に合った工法を選択することが大切です。

高い耐震性能と自由で大胆な空間デザインを両立する、耐震構法SE構法

SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。

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株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、

  • 木造でありながら地震に対する安全性
  • 壁や柱が少ない室内での「大空間」
  • 大きな窓を採用し光を取り入れる「大開口」

を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)

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