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地震と住宅の新常識
マンションやビルに使われるRC造住宅とは?メリット・デメリットを解説のインデックス
家を建てるなら、スタイリッシュなデザインで、耐震性も高いものにしたい。RC造(鉄筋コンクリート造)なら希望がかないそう。そうお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。多くのマンションやビルに使われるRC造で、戸建て住宅を建てることは可能です。この記事では、RC造のメリット・デメリット、RC造で家づくりをする際のポイントをご説明します。さらに他の工法との比較も詳しく解説。これからの家づくりへ向けて、ぜひ参考にしてください。
RC造とは鉄筋コンクリート造(Reinforced Concrete Construction)の略称です。強度が必要な柱や梁や壁などを、鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めて作る工法です。 19世紀にフランスで発祥したRC造は、日本には明治時代後期に導入されました。注目が高まったのは1923年の関東大震災。高い耐震性を保持するRC造は、高層建築などに標準的に採用され普及が進みました。 RC造の構造は、引っ張る力が強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートの組み合わせで作られます。鉄筋がコンクリートの強度を補強し、コンクリートは鉄筋を腐食から保護。お互いを補強しあうことで強固な構造を実現するのです。 耐久性が高く、主にマンションやビルなど大規模な建築に多く用いられています。
建築物には、RC造以外にS造、SRC造、木造などの工法があります。それぞれの特徴をご説明しましょう。
S造(鉄骨造)は、鉄骨を骨組みに使用する工法で、粘り強くしなやかな特徴を持ち、高層ビルや体育館などの大空間を必要とする建物に適しています。6mm以上の鋼材を使用する重量鉄骨造と、それ未満の軽量鉄骨造があり、施工期間が短く耐震性に優れていますが、耐火性の低さや腐食のしやすさが課題です。
SRC造は、S造とRC造を組み合わせた工法です。鉄骨・鉄筋・コンクリートで構成することで、優れた耐久性と耐震性を実現しますが、工期が長く、建築コストが高くなります。主に高層ビルや大規模商業施設に採用されています。
木造は日本の伝統的な工法で、軸組工法やツーバイフォーなどがあります。建築コストが低く、工期が短い上、調湿効果による快適な住環境が特徴ですが、火災やシロアリへの弱さ、他の工法に比べて耐久性が低い可能性があることがデメリットとして挙げられます。
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RC造の主要なメリットについて、具体的にご紹介します。
RC造はその構造の特性から、他の構造に比べて耐久性に優れています。 住宅用の建物の法定耐用年数を比較してみました。
構造・材質 | 法定耐用年数 |
鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造 | 47年 |
鉄骨造(骨格材厚みが4mm超) | 34年 |
鉄骨造(骨格材厚みが3mm超4mm以下) | 27年 |
鉄骨造(骨格材厚みが3mm以下) | 19年 |
木造・合成樹脂造 | 22年 |
法定耐用年数とは国が定めた、固定資産の「資産価値が帳簿上から消滅するまでの期間」です。これは建物の構造や材料の耐久性をもとに設定されたもので、一般的に耐用年数と言えば法定耐用年数のことを指します。しかし、正しくメンテナンスを行うか否かで、実際の建物の耐用年数は変わってきます。
RC造は、コンクリートと鉄筋の特性により高い耐震性を有しています。地震の揺れに対し、鉄筋の引っぱる力への強さと、コンクリートの圧縮力への強さで建物を支えるからです。 ただし木造などと比較すると建物自体が重いため、地震による揺れが大きくなることもあり、場合によっては、揺れを支えるための地盤改良工事が必要となるかもしれません。
RC造の中でも、柱と梁で構造を支えるラーメン構造の建物は、大空間・大開口を取り入れた自由度の高い間取りが可能です。広いリビングやビルトインガレージの設置や、将来的なリフォームにも柔軟に対応できます。 RC造にはラーメン構造の他に、耐力壁で構造を支える壁式構造があります。壁式構造では耐力壁の設置によって、設計の自由度が制限されることがあります。
RC造のコンクリートはセメントや砂・砕石などを混ぜて作られた、密度が高く重い材料のため遮音性能に優れています。 空気の振動として伝わる音は、質量の大きいコンクリートに当たることで音の伝わりが遮られます。 建物の外からの音も内からの音も伝わりづらいため、家の中で楽器の演奏をする場合などにも適していると言えます。 このように防音に期待できるRC造ですが、実際の遮音性は建物の壁や床の仕様や厚み、間取りなどによって差が生じることがあります。
耐久性などにおいて性能の高いRC造には、どんなデメリットがあるのでしょう。解説していきます。
デメリットとしてまずあげられるのは、建築コストが高いことです。 RC造の材料である、鉄筋やコンクリートは木材や鉄骨と比較して高価である上、使用量も多い傾向にあります。 また、施工期間も木造や鉄骨造に比べて長くなるため、人件費も高くなります。 国税庁が公表した、令和6年度の構造別の全国平均の工事単価は以下のとおりです。
(1㎡あたり)
鉄筋コンクリート造 | 鉄骨造 | 木造 |
304,000円 | 294,000円 | 207,000円 |
上記を参考に、建築面積40坪(約132㎡)の住宅を建てる場合の費用を比較すると下記になります。
・鉄筋コンクリート造 約 40,284,000円
・鉄骨造 約 38,884,000円
・木造 約 27,404,000円
このように、同じ面積の建物でもRC造と木造では建築費用に大な差が生じ、RC造にはコストがかかることがわかります。
コンクリートや鉄筋をつかうRC造は、建物の重量が非常に重くなるため地盤への負担が大きく、建設には強固な地盤が必要です。 軟弱な地盤は地盤沈下や液状化現象が起こる恐れも。場合によっては地盤改良工事が必要になり、建築費用に加え地盤改良の費用がプラスで発生する場合があります。
施工の期間も他の工法に比べて長くなります。 コンクリートは打設後、強度を増すための養生期間が必要で、その間次の工程の着手を待たなければなりません。 また、鉄筋配置・枠組みの作業が複雑で時間がかかること、他の工法のように工場での事前加工ができないため、天候の影響を受けやすいことが施工期間の長期化につながります。
コンクリートは熱伝導率が高いため、建物の中で暑さや寒さを感じやすいのもデメリットです。夏場は外部からの熱が伝わりやすく、冬場は室内の空気が外部に逃げやすくなります。 また、気密性の高さから室内の湿度が上がりやすく、カビが発生しやすくなることも。対策として、断熱材の設置や窓周りの断熱性能を高めること、ならびに換気システムの導入などがあげられます。
RC造の住宅建築には複雑な技術や経験が求められるため、対応できる住宅会社が限られています。 日本の気候風土に適応した木造住宅を扱うハウスメーカーが多く存在するのに対し、RC造に対応した住宅会社の選択肢が少ないこともデメリットのひとつと言えるでしょう。
RC造での家づくりにおいての気をつけるポイントを見ていきます。
建設予定地の土地の形状や地盤の状態を調べましょう。軟弱な地盤の場合は液状化のリスクもあり、専門家による地盤調査が必要になります。 また、RC造は気密性が高く湿気がこもりやすいため、土地の日当たりや通気に問題がある場合、周辺環境に適した住宅の計画が必要です。 さらに自然災害のリスクがある地域では、建物の災害対策も考える必要があります。
建築会社の選定もRC造での家づくりにおいて極めて重要です。特殊な施工技術を必要とするため、十分な技術力や施工経験を持つ会社を選ぶ必要があります。 また、構造計算や地盤対策を正確に行う会社でなければ耐震性や居住性にまで影響を及ぼす可能性も。 さらにRC造特有の高い建築コストに対応するため、予算にあわせたプランを提案できる会社を選ぶことも大切です。
RC造は耐震性に優れ間取りの自由度も高いのがメリットですが、建築コストが高額になる問題があります。住宅の性能とコストとのバランスを考えると、木造住宅を採用する方がほとんどです。しかし、一般的な在来工法では耐震性を強化すれば耐力壁が増え、間取りの自由度が制限されてしまうのが課題でした。 SE構法であれば耐震性と設計の自由度の両立が可能です。その理由をご説明します。
SE構法で特徴的なのが、RC造で採用されている「ラーメン構造」を木造に取り入れている点です。ラーメン構造とは、柱と梁を強固に固定(剛接合)して一体化させた建築様式です。建物全体がフレームとして力を分散し、地震などに耐性を持つ構造です。 主要構造部が柱や梁のため、室内においての柱や間仕切り壁を最小限にすることが可能。耐震性を保持しつつ開放的な大空間のある家を作ることができます。
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RC造は建物の強度を確保するため、設計時に許容応力度計算などの構造計算を行うことが必須です。高い耐震性や安全性は構造計算により裏付けられます。 一方木造住宅では、建築基準法上で構造計算が義務付けられていないため、簡易的な仕様規定に基づく設計が行われることが一般的です。 SE構法ではRC造と同様に、全棟で許容応力度計算を実施しています。この構造計算により耐震等級3を取得、RC造と同等の耐震性能を確保します。
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RC造は材料の価格、工期の長さや特殊な技術を要することなどにより、建築コストが高くなりがちです。 一方、SE構法は木材を使用しながらRC造と同様の構造計算を実施しており、高い耐震性能を実現しています。木材は、加工や施工がしやすく、人件費や工期もRC造に比べ抑えることができるため、全体の建築コストがリーズナブルに。SE構法は高い耐震性と設計の自由度を保ちながら、コストパフォーマンスにも優れています。
SE構法で、耐震性と大空間を実現した住宅の実例をご紹介します。
玄関を入ると目に入るのは、大きな吹き抜けのあるリビングダイニング。周囲の緑とハイサイドライトの窓から降り注ぐ日差しを取り入れた、明るくあたたかな空間です。建物の大きさを抑えつつも大開口・大空間を作り出すことで、ここまで開放感のある室内を作ることができました。
2階の通路からもリビングを見下ろすことができ、吹き抜けのある空間を中心に家族の雰囲気を感じることができます。自然素材を取り入れた室内は、この家の心地よさをさらに引き出しています。 SE構法では木造であっても、耐震性を確保しながらこのような大空間を実現することが可能です。
SE構法とRC造を組み合わせた、ビルトインガレージのある邸宅です。 室内には、吹き抜けのある大空間のリビングルーム。大きな窓からこぼれる光が、シャープなデザインのリビングに心地よさを与えています。RC造と木造の組み合わせでも、SE構法ならここまでの大空間が作れるのです。
そして、ガレージにも差し込む自然光。愛車を置く空間を、住まいの一部として取り入れることができました。 この事例では、RC造との耐久性や耐震性を取り入れながら、SE構法での木造住宅の快適さを実現させています。 RC造のデメリットである、暑さ寒さを感じやすいことや結露やカビの発生は、SE構法による木造との混構造で解決。すべてをRC造で作る場合に比べ、建物の総重量も軽くすることができました。
マンションやビルなど、大規模な建築物に用いられることが多いRC造は、耐震性が高く、耐久性や遮音性の高さも優れています。また、ラーメン構造の場合は、間取りの自由度の高さも特徴です。 ただし、材料費や工期の長さ、特殊な技術を要することなどから、RC造の建築コストは高額になります。また外部の気温が伝わりやすく、気密性の高さからカビが発生しやすいなどのデメリットもあります。 SE構法は、木造住宅にラーメン構造を取り入れ、RC造と同様な大空間・大開口を作ることを可能にしました。またRC造で行われる構造計算も全棟で実施。高い耐震性能を確保しています。木造住宅ならではの心地よさを取り入れながら、自由な設計と耐震性を備えた安心の住まいづくりをすることができます。
SE構法は、木造住宅の構造技術です。丈夫な材料とラーメン構法による強い構造躯体と、一棟一棟に対する基礎から上部までの厳密な構造計算を行う点が最大の特長です。私たちの特長を是非ご覧ください。
株式会社エヌ・シー・エヌが開発した構法で、集成材とSE金物による堅牢な構造媒体を持ちすべての建造物に対してひとつひとつ構造計算(許容応力度等計算)を行うことで、
を同時に実現できる構法です。
(施工は全国の登録工務店でしか行うことができません。)