非住宅木造で工務店が実績を上げるための実務ポイント
工務店が非住宅木造に取り組む上で施工の品質と共に求められるのは、木造化・木質化による付加価値を示すことです。
他工法と比較して付加価値が高い点があれば、トータルの評価が高まります。
工務店は長年培った木造の設計や施工、積算等のノウハウがあり、最適な非住宅木造を提案できることが強みです。
このコラムでは、非住宅木造で工務店が実績を上げるための実務ポイントについてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・非住宅木造の実務ポイント:工務店は木造のプロであることを訴求
・非住宅木造の実務ポイント:工務店の強みである地域密着を活かす
・非住宅木造の実務ポイント:工務店ならではの構造技術
・非住宅木造の実務ポイント:工務店ならではのコストパフォーマンス
・非住宅木造の実務ポイント:工務店ならではの工期短縮
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
非住宅木造の実務ポイント:工務店は木造のプロであることを訴求
非住宅木造はこれから本格的に成長する市場です。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造で非住宅用途の建築物を建てている発注者、設計者、施工者は、「木に不慣れ」なプレイヤーが多いことも事実です。
一方で、工務店は長年培った木造の設計や施工、メンテナンス等のノウハウがあります。
非住宅木造に取り組む上では、ターゲットとする建物用途を絞り込むことが重要です。
建物の用途ごとに営業のアプローチから設計、申請等に関する実務がかなり異なりますので、自社の強みを発揮できる用途に絞り込むことがポイントです。
非住宅木造を検討する際に、必ず考えておかなければならないのが「防火・耐火」です。
鉄骨やコンクリートに比べて燃えやすい木材(木は火に弱いということではない)という材料を使って、法規の基準を満たした火災に強い建築をつくることが求められます。
非住宅木造は、規模や建築基準法、各種基準により、耐火建築物や準耐火建築物の仕様が求められることが多くなります。
このため、防火・耐火のコストをできるだけ上げないように、建築計画を慎重に検討する必要があります。
非住宅木造の実務ポイント:工務店の強みである地域密着を活かす
建設というビジネスは、原則として地元の会社が有利である特性があります。
非住宅用途の建築に関しては、住宅事業のように大手企業の支店や展示場が各地域に展開している例が少ないので、結果として地元企業の優位性は高まります。
工務店はこれまでの住宅事業の活動を通じて、地域との接点が多いことが有利です。
非住宅用途の発注者においても、「地元の会社に依頼したい」というニーズはあります。
工務店においては、法人の発注者との関係をうまく構築できれば、別のクライアント候補を紹介してもらうこともできます。
また、元請けの仕事だけではなく、大型案件の建て方施工や木工事を受注することで実績を増やすことも可能になります。
関連記事:SE構法の施工体制は「全て元請け」と「建て方施工」が選択できる
非住宅木造の実務ポイント:工務店ならではの構造技術
非住宅木造の実務に取り組む上では、木造住宅とは設計、生産プロセスに大きな違いがあることを理解する必要があります。
確認申請等の対応においても、非住宅木造は住宅とは異なる基準での審査を受けますので、木造の構造設計に関する高い知見や専門性が求められます。
プレカット工場の多くは建築士事務所ではありませんので、構造的な課題に対して対応できないことがほとんどです。
そのためにも、非住宅木造においては構造設計とプレカットに精通した構造設計事務所との協働が鍵となります。
木造プレカットの製造プロセスに詳しくない構造設計者が設計・計算を行うと、独自に考えた金物のディテールを図面に書きます。
しかしその情報をCADに登録しない限り、CAD/CAMではつながりませんので、プレカット工場側は機械ではなく図面を見ながら手加工するしかありません。
結果的にそうした加工料等がコストアップになり、非住宅木造が実現しにくい要因になります。
非住宅用途の建築物においては、住宅以上に大空間や大開口、ビルトインガレージ、平面斜辺等の設計に対応する必要があります。
そのために必要なのは、科学的に根拠のある構造計算と高い強度を持つ構造躯体を持つ構法です。
その代表的な構法が耐震構法SE構法です。
関連記事:SE構法はワンストップサービスが魅力!各プロセスごとに徹底解説
非住宅木造の実務ポイント:工務店ならではのコストパフォーマンス
高い技術力を持ち、建築物の施工にたけた建設会社に対抗するためには、低コスト化に勝機を見いだす必要があります。
特殊な認定工法を使った高コストの非住宅木造ではなく、顧客が求める普及型の非住宅木造です。
非住宅木造普及のために、工務店に期待されることはコスト削減のノウハウです。
関連記事:【解説】大規模木造のリアルなコストの考え方(前編)
関連記事:【解説】大規模木造のリアルなコストの考え方(後編)
工務店は長年培った木造の設計や施工、積算等のノウハウがあり、最適なコストバランスの非住宅木造を提案できることが強みです。
工務店は建設会社やハウスメーカーと比較して、相対的に企業規模が小さいこともあり、コスト競争力が高いです。
非住宅木造の実務ポイント:工務店ならではの工期短縮
木造は鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比較して、工期の短縮が図れることも利点です。
木造の場合、プレカットされた規格部材を現場で組み上げる施工は、スムーズな作業・進行に貢献し、短期間での完成を実現できます。
非住宅木造では、基礎は鉄筋コンクリートとなりますが基礎断面のボリュームが他工法と比較して小さくなることから、工期は短縮されます。
関連記事:脱炭素社会に木造化は必須!大規模木造(SE構法)と鉄骨造の比較まとめ
工務店は長年培った木造の施工のノウハウがあり、適正な工期設定による非住宅木造を提案できることが強みです。
SE構法へのお問合せ、ご相談について
大規模木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
6.非住宅版SE構法構造性能保証
業界初の非住宅木造建築に対応した構造性能保証により安心安全を担保し、中大規模木造建築の計画の実現を後押しします。
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
都市部を中心に、非住宅木造の計画が活性化しています。
木造はもはや都市建築の選択肢の一つとなっています。
加えて発注者は環境重視の姿勢を強めています。
関連法規の基準を満たしながら、更なる省エネ対策を実施した木造建築が求められています。
設計者には、木の材料特性を引き出し、流通する製材を活用して、都市部の建築の木造・木質化の実現が求められています。
SE構法の構造スペックをうまく活用すると、木造では実現が難しい高層化、木造耐火などを実現することができます。
都市部の厳しい敷地条件の中、鉄骨造ではコストや施工に問題がある場合においても、木造(SE構法)が有効な選択肢となります。
NCNは構造設計から生産設計(プレカット)までのワンストップサービスが強みです。
計画段階からご相談いただくことで、構造設計から材料調達までを考慮した合理的な計画が可能です。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。
SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。
構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、ウッドショックでお困りの方もお気軽にお問い合わせください。