【栃木県】中大規模木造の実務ポイントとSE構法の技術
栃木県は古くから林業や石材の採掘が多くあり、多様な建築素材と独自の技術が育まれてきました。
栃木県における中大規模木造の実務ポイントとしては、まず県産材の積極的な活用が挙げられます。
公共建築物においても木造化や木質化の導入が進められており、木材利用の拡大によって林業の活性化を心がけ、脱炭素社会の実現にも貢献しようと取り組んでいます。
この記事では栃木県における中大規模木造の実務ポイントとSE構法の技術についてお伝えします。
<このコラムでわかること>
・中大規模木造の普及が進む栃木県の特徴
・とちぎ木材利用促進方針
・栃木県における公共建築物等の木材利用
・栃木県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
・SE構法へのお問合せ、ご相談について
・まとめ
中大規模木造の普及が進む栃木県の特徴
栃木県は関東地方の北部に位置し、豊かな自然と歴史的文化財に恵まれた地域として知られています。
栃木県は古くから林業や石材の採掘が多くあり、多様な建築素材と独自の技術が育まれてきました。
公共建築物においても木造化・木質化の導入が進められており、木材利用の拡大によって林業の活性化を心がけ、脱炭素社会の実現にも貢献しようと取り組んでいます。
まず、栃木県を代表する木材資源として挙げられるのがスギやヒノキで、木材の生産は古くから行われてきました。
日光東照宮をはじめとする歴史的な建造物の多くには、地元産のスギ・ヒノキが活用され、その優れた強度と美しい木目、そして耐久性が高く評価されています。
また、現在でも県産材を使った住宅づくりや公共施設の木造化が進められており、伝統的な技術と現代的な設計が融合した建築事例も数多く生まれています。
さらに、栃木県を語るには欠かせない建築素材に「大谷石(おおやいし)」があります。
宇都宮市の大谷町周辺で採掘されるこの石は、軽量ながら加工が比較的容易で、なおかつ耐火性や断熱性に優れるという特徴を持っています。
また日光東照宮といった世界遺産でも確認できるように、細やかな彫刻や巧みな組物の技術は、県内に息づく匠の精神を象徴しています。
現代の和モダン建築や数寄屋建築の分野にも取り入れられ、現代の住宅や施設に新たな魅力を与えています。
若い世代の建築家や工務店が、伝統工芸を学びながら新しい建築デザインに挑戦する動きも増えており、技術継承と革新が同時に進む環境が整いつつあります。
さらに、県北部の那須地域では、夏の避暑地や別荘地として多くの人々が訪れることから、自然環境を配慮した別荘建築が多く見られます。
地元の木材や大谷石、さらには地場の工芸品などを組み合わせた建築は、自然との調和と独自のデザイン性を両立し、豊かな空間を実現しています。
栃木県においても、豊富な森林資源を正しく活用するための取り組みが進められており、伐採・植林・加工・流通までを一貫して行う体制づくりや、地元を広く行うPR戦略が展開されています。
大谷石に関しても、石材の特性を考慮した耐久性や意匠性が広く注目され、その優位性が見直されています。
栃木県の住宅・建築は、豊富な森林資源や大谷石など多彩な自然素材が基盤となり、伝統的な匠の技術と現代的な建築技法が交錯する点に大きな魅力があります。
とちぎ木材利用促進方針
栃木県の「とちぎ木材利用推進方針」は、脱炭素社会の実現に向けて木材利用をさらに促進していくために、県内の全ての建築物における木材利用の促進や、県産木材の利用促進を規定する方針です。
「とちぎ木材利用推進方針」は、県産材の活用、地域経済の活性化や森林資源の持続可能な循環を図るため、建築実務者に対して具体的に正しい方策や支援策を示しています。
公共建築物や住宅、さらには大規模建築物など幅広い分野で県産材を積極的に進めていくことが大切だとされています。
また、品質や強度に対する考え方としては、県産スギやヒノキの等級区分・乾燥技術・集成材確保などに関する情報を提供することで、建築実務者が安心して活用できる環境を整えていく方針が示されています。
これらは公共事業の整備だけでなく、一般住宅や民間建築プロジェクトにも適用可能なものであり、県が主体となって補助や助成制度、技術相談の窓口を設けています。
設計・施工の観点からは、木造や木質内装の導入が建築の省エネルギー性や居住性の向上につながる点が強調されており、木造化・木質化の魅力が再認識されています。
県産材を使用した先進事例の情報共有や見学会の実施なども提案されており、施工技術の進歩とともに新たな可能性を検討する機会を広げることが目指されています。
栃木県が有する豊富な森林資源を保全・活用しながら、建築現場における県産材利用を拡大するための総合的な指針も示されています。
木材特有の暖かみや意匠性を高めた設計提案の可能性を広げるための有益な情報源にもなっています。
さらに、行政との連携や助成制度の活用によって、施工コストや品質管理といった課題にも具体的に対応できる体制が整いつつあります。
栃木県における公共建築物等の木材利用
公共建築物は、広く国民一般の利用に供するものであることから、木材を用いることにより、木と触れ合い、木の良さを実感する機会を幅広く提供することができます。
このため、建築物木材利用促進基本方針では、公共建築物について、積極的に木造化を促進することとしています。
林野庁の資料「森林・林業白書」によると、栃木県では下記のように木造率が推移しています。
・2017年度:
建築物全体(49.3%)、公共建築物(19.0%)、うち低層の公共建築物(41.0%)
・2019年度:
建築物全体(52.5%)、公共建築物(19.1%)、うち低層の公共建築物(34.1%)
・2021年度:
建築物全体(54.6%)、公共建築物(20.1%)、うち低層の公共建築物(36.1%)
2022年度以降に整備に着手する国の公共建築物については、建築物木材利用促進基本方針に基づき、計画時点においてコストや技術の面で木造化が困難であるものを除き、原則として全て木造化を図ることになっています。
栃木県の中大規模木造に最適なSE構法の概要
耐震構法SE構法(以下、SE構法)は、大規模木造建築物の技術を基に開発された技術です。
SE構法は構造計算された耐震性の高い木造建築を実現する、独自の建築システムです。
SE構法は耐震性の高さ、設計の自由度、コストパフォーマンスの良さ、ワンストップサービス等で高い評価を受けており、さまざまな大規模木造の実績が増えています。
SE構法は、単純に「剛性のある木質フレーム」というだけではなく、さまざまな利点を追求し、大規模木造で求められる大空間・大開口を可能にして、意匠設計者の創造性を活かせる設計の自由度を提供しています。
関連記事:耐震構法SE構法は全棟で立体解析による構造計算を実施
SE構法は「木造の構造設計」と「構造躯体材料のプレカット」そして施工というプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
その合理的なシステムが、設計・施工のプロセスにおいて納期や工期の短縮につながります。
関連記事:「ウッドショック等のリスクにSE構法のワンストップサービスが強い理由」
SE構法へのお問合せ、ご相談について
非住宅木造をSE構法で実現するための流れは下記となります。
1.構造設計
SE構法を活用した構造提案を行います。企画段階の無料の構造提案・見積りから、実施設計での伏図・計算書作成、確認申請の指摘対応等を行っております。また、BIMにも対応可能です。
2.概算見積り
SE構法は構造設計と同時に積算・見積りが可能です。そのため躯体費用をリアルタイムで確認可能で、大規模木造の設計において気になる躯体予算を押さえつつ設計を進めることが可能です。
3.調達
物件規模、用途、使用材料を適切に判断して、条件に応じた最短納期で現場にお届けします。また、地域産材の手配にも対応しております。
4.加工
構造設計と直結したCAD/CAMシステムにより、高精度なプレカットが可能です。また、多角形状、曲面形状などの複雑な加工形状にも対応可能です。
5.施工
SE構法の登録施工店ネットワークを活用し、計画に最適な施工店を紹介します。(元請け・建方施工等)
↓SE構法へのお問合せ、ご相談は下記よりお願いします。
https://www.ncn-se.co.jp/large/contact/
まとめ
非住宅木造においては、SE構法の構造躯体の強みを活かした構造設計により、コスト減、施工性向上を実現することができます。
SE構法は構造用集成材の中断面部材(柱は120mm角、梁は120mm幅)が標準なため、住宅と同等の部材寸法でスパン8m程度までの空間を構成できるコストパフォーマンスをうまく活用していただければと考えております。
スパンが10mを超える空間は、特注材やトラス、張弦梁などを活用することも可能です。
計画段階からNCNの特建事業部に相談することで、木造建築に関する知見をうまく利用していただき、ファーストプランの段階から構造計画を相談することで、合理的に設計実務を進めることが可能です。
集成材構法として実力・実績のある工法の一つが「耐震構法SE構法」です。SE構法は「木造の構造設計」から「構造躯体材料のプレカット」に至るプロセスを合理化することでワンストップサービスとして実現した木造の工法です。
また構法を問わず、木造の構造設計から構造躯体材料のプレカットに至るスキームづくりに取り組む目的で「株式会社木構造デザイン」が設立されました。
構造設計事務所として、「⾮住宅⽊造専⾨の構造設計」、「構造設計と連動したプレカットCADデータの提供」をメイン事業とし、構造設計と⽣産設計を同時に提供することで、設計から加工までのワンストップサービスで木造建築物の普及に貢献する会社です。
株式会社エヌ・シー・エヌ、株式会社木構造デザインへのご相談は無料となっておりますので、お気軽にお問い合わせください。